ブエノスアイレス地下鉄(1)

2002/5/8設置 トップアルゼンチン紀行>現在地
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地下鉄の概要 Subte

ブエノスアイレスの地下鉄は、スブテSubteと呼称され、Metrovías(Metrovias)(vía(via)とは鉄道の意)という組織が運営しています。「ブエノスアイレス市地下鉄局」みたいな存在だと思うんですが、よく分かりません。蛇足ですが、この組織はバス事業はやってません。路線はA〜Eの5路線があります。

路線図は公式サイトのルート検索ページか、Metro PlanetBuenos Airesのページをご参照下さい。Metro Planetの路線図に描かれているようなH線が今年開通するらしいですが、交差地点で下車もしなかったので、そのような様子は全く感じられませんでした。大抵の都市ならある筈の紙の路線図配布はこの都市ではやってないらしく、入手出来ませんでした。路線は、市の中心と言える5月広場Plaza de Mayoから郊外へ向かうA線、A線の2番目の駅を始発として互いにA線と対称の位置にあって郊外へ向かうD、E線、A線とややずれて並行する形のB線、そしてこれらと直角に走り2つの郊外鉄道ターミナルを結ぶC線と、かなり単純な構造となっています。ところで、路線図をご覧頂ければお分かりになると思うんですが、乗換駅でも各線で駅名が違うんですよね。東京地下鉄道建設に先立ち、視察団がこの地を訪れたわけですが、同行のB氏曰く、「視察団はこんな悪弊を学習したので営団の乗換駅名が互いに違うのだ。ぶつぶつ」だそうです。ネタにマジレスすると、視察団が訪れた当時はA線しか無かったので乗換駅が存在しませんから、そんなこと学習できる筈がありません。多分。尚、C線とE線の乗換駅であるIndependenciaだけは両線で名称が同一です。

ここの地下鉄は全線乗車しましたが、地上走行区間が全くありません。「地下鉄」の看板に偽りなし。ここまで徹底しているのも珍しい。感心感心(謎)。そんなこと言っても、全線地下じゃやっぱり味気ないですけど・・・。

今回の旅行の(私の)最大の目的である元丸ノ内線の電車が走っているのはB線です。また名古屋の東山線から移籍した電車は、C線とD線で使用されています。尚、この国の鉄道は、道路交通と違って左側通行です。流石に路面電車であるプレメトロPremetroは右側通行でしたが。

Subtepass
地下鉄の切符、上が1回券、下が2回券 ■拡大

運賃は1回70センターボ(1ペソpeso=100センターボcentavo)の均一制です。出札口は有人で、自動券売機はありません。ここで「○回」と言えば、その枚数だけ切符(Subtepass)をくれます。教科書的には「1 viaje, por favor.」(viajeは旅行の意。旅行と言うと大仰なので英語のtripに近いと言った方がいいでしょうか。por favorは大凡英語のpleaseに相当)などと言うわけですが、現地の人はそんなまどろっこしいことは言わないで、ただ数字だけ言ってます。切符には当日有効などとの期限は定められてないのですぐに乗る予定が無くても纏め買いが可能。

切符は材質も大きさも厚みもほぼ名刺。切符には穴が空いていますが、これは改札の入鋏ではなく、購入当初から空いています。一体何のためやら。1回券の他に2回券、5回券、30回券などもありますが、これらは全て運賃をそのまま回数分乗じた価格で、全く割引がありません。どうも存在意義が謎。売る側もそう思っているのか、こちらが複数回と言っても、先に述べたとおり1回券を回数分寄越すばかりで、複数回券を受け取ったことはありませんでした。が、偶々街中で2回券を拾得したので有り難く持ち帰り、ここにご紹介する次第です。

入場はターンスタイル式の自動改札となります。改札機が切符を処理している間はパイロットランプが赤色になり、それは新たな投入を受け付けられないとの意味なのでしょうが、エラー発生かと初めのうちは焦りました。処理が終わると切符が出てきて、改札を通ることが出来ます。均一運賃なので入場したらもう切符は必要ありませんが、それでも出てきます。1回券でもです。そのお陰で駅構内、果ては街中まで、切符があちこちに打ち捨てられ、町の美観を損ねる一因になってます。ぉぃぉぃ。18/03/02 04:58 A MIS V 1  
18/03/02 11:17 A PMA V 0入場すると、裏(白色)には乗車日月年(この順)、時刻、乗車路線、駅名3文字、残回数が印字されます。複数回券は入場毎に前の印字の下に印字されていきますが、25行がせいぜいのように見えます。一体30回券はどうするのでしょう。参考までに、拾得した2回券の印字の画像を貼り付けて置きます。


B線 Línea B

それでは車両を写真を交えながらご紹介致しましょう。地下でフラッシュ無しで撮るとシャッター速度が遅くなるので(言い訳)ピンぼけでぶれてばかりですが、ご了承下さい。まずは丸ノ内線車両の走るB線から。というか丸ノ内線車両から。B線は全車元丸ノ内線の車両で統一されている模様です。編成も6両で、全く丸ノ内線時代を彷彿とさせます。

Type 500 Type 500
500形前面 ■拡大 500形側面 ■拡大

いきなりぶれまくりの前面および側面です。これらはB線都心側始発駅Leandro N. Alem駅で撮影。前面幕は、写真では読めませんがこの駅を表示しています。他の電車も見ましたがどっちに走るときもこの表示で固定のようです。変なの。車号表記をよくご覧下さい。ニューヨーク地下鉄書体だった営団時代と違います。わざわざ書き換えてるんですね。車号自体に変化は無いと思いますが。運転士側窓に掛かっている札は、編成番号(アルファベットなので記号と言うべきでしょうか)のようです。鉄道雑誌などで見た通り、側面下部にはステップが増設されています。

ところでこの駅は、均一制で出場時チェックが無いという特性を活かし、ホームから上りエスカレーターに乗ると直接ラッチ外に出ると言う面白い構造となっていました。

Type 500 Type 500
500形車内 ■拡大 車内表示器 下段は「PROXIMA F.LACROZE」と表示 ■拡大

車内です。特に変更点はありません。唯一最大の変化が天井からぶら下がってる案内表示器。この車両では扉間に1台ずつ、1両で2台設置されていますが、他路線(C、D)で4扉の場合もやはり2台でした。表示器は、一番上は見ての通り広告、次にマップ式表示があり、始発駅から現在地までのランプが点きます。一番下は文字表示で、次駅、乗換案内が出ます。「次は」が「PRÓXIMA(PROXIMA)」、「乗り換え」が「COMBINACIÓN(COMBINACION)」という表現です。実際はこの機械ではアクセント記号は表示されないません。一部車両はこれよりバージョンアップした型で、太字、小文字、アクセント記号も表示され、また文字の色を次々に変えるなど派手な仕様です。こちらの型は出口方向も表示。「Dirección(Direccion)」「←―Salida――」という感じ。しかしこんなものを装備するとは随分太っ腹に見えるなー。

Direction display set number
日本のままの方向幕番号表示 ■拡大

車端部、片方の妻窓を新聞紙で目張りしてますが、理由は分かりません。

客室最前部から運転台を覗いた所、方向幕番号表がそのまま掲示されていました。まぁ普通客の目に触れる部分でもありませんし、わざわざ撤去することも無かったんでしょう。

どうでもいいけど、「方南町」が無いんだよなー。元方南町利用者としては、本線からの方南町直通を何度妄想したことか。昔の白地幕だった時代はあったんですけど、最終段階の紺地幕ではこの通り。「方南町←→中野坂上」は活かされた車両もありましたがね・・・。

もう一つ日本語がそのままといえば、窓の「乗務員室」表記。これわざわざ交換しようとしたら費用半端じゃありませんしね。



Map of Linea B
路線図 どの道字が読める写真ではないので拡大画像はありません

ドア上に掲示された路線図。ご丁寧にも、路線の上の通り名、更には交差する通り名が全て記されています。碁盤の目状の街路が整備され、更に細い道にも名前が与えられているからこそ可能なことではありますが、情報量が多くて、その割にすっきりしていていいと思います。でも例によってピンぼけで字が読めません。せめてこれで雰囲気だけでも感じてくださいな。

B線の郊外側の終端駅Federico Lacroze駅は、更に郊外へ向かう地上を走る郊外路線Urquiza鉄道の始発駅でもあります。地下に駅があるB線と地上に立派なターミナルを構えるUrquiza鉄道線は同じMetrovías(Metrovias)の運営ですが、郊外線でMetrovíasの運営なのはここだけです。両線は直通運転はしていませんが線路は繋がっています。地下鉄駅の先で線路は地上に出、郊外線の駅構内を脱したかどうかという地点に合流します(極めていい加減で不正確ですが、下図をご参照下さい)。地下鉄の引上げ線は地上への線路と別に地下にあるので、普段地下鉄車両が地上に顔を出すことはまず無いと思いますが、郊外線の駅に地下鉄車両が1編成留置されていました。それを撮影したのが次の写真です。



Federico Lacroze Station
Federico Lacroze駅配線略図
Type 500 & 900 Type 500 & 900
唯一の地上で撮れた「丸ノ内線」 ■拡大 奥に続いて留置は郊外線車両 ■拡大

2枚は、同じ位置から両側を写したものです。1両真っ黒です。一体どうしたらこうなるんでしょう・・・。ところで、よく見るとこれ、中間車全部900形です。日本時代じゃないことでした。日本では2号車と5号車と決まっていましたから。で、号車ステッカーをよく見ると(この写真では無理です。済みません)、2と5は営団時代のNY地下鉄書体、3、4は普通のゴシック体らしき書体です。こちらは車番と異なり、号車が同じである限りはそのまま使っているようです。

尚、車両基地は、この駅の手前で本線から分岐する線路があったのでその付近だと思われますが、よく探さなかったので分かりませんでした。地上なのか地下なのかも不明です。

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