TBAなどの鉄道

2002/5/8設置 トップアルゼンチン紀行>現在地
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レティーロ駅 Estación Retiro

Retiro station Retiro station
Retiro駅 ■拡大 Retiro駅 ■拡大

Retiroは3つの鉄道駅(地下鉄除く)と長距離バスターミナルが集まる一大交通拠点です。これらは南東、北波止場Darsena norteの方角に正面口を向けて並んでいて、向かって左から、TBA Mitre線、Ferrovías(Ferrovias)Metropolitano Pilar方面、、長距離バスターミナル(後述)の順番に並んでいます。(鉄道3駅の配置は勘違いがあるかも知れません。)

鉄道3駅の駅と駅のそれぞれの隙間から南東方向に非電化単線線路が延びており、駅前の道路や広場を横断した先はヤードのようになっており、貨車が放置されていますが、既に機能停止しているように見受けられました。線路はそのヤードを抜け、5月広場Plaza de Mayoに程近いTBAのPuerto Madero駅(後述)に達していますが、ここまでの区間はレールが捻じ曲がっていたり、踏切部分で車輪フランジが通るべき隙間が土などで埋没していたりと、全く使用可能とは思えません。

上左写真は、鉄道3駅の一番右側、Metropolitano駅前からFerrovías(Ferrovias)駅方向を写したものです。右写真はFerrovías(Ferrovias)駅を正面から捉えた物です。ここに集まる路線のうち、TBAは第三軌条方式電化で電車、他は非電化でディーゼル機関車牽引列車の運行となっています。

Metropolitano
Metropolitano車両の焼け跡 ■拡大

これからご紹介する5点の写真は全てFerrovías(Ferrovias)駅とMetropolitano駅の間の地点で撮影したものです。まず、左は構内に放棄されていた全焼客車。後述するTBA Sarmiento線の車庫でもこのような凄惨な車両を多く見ましたが、一体どうなっているのでしょう。

下は、現役の、左が客車、右がディーゼル機関車です。機関車はアメリカでもよく見かけるような形です。いずれも蔦などで見通しの効かない写真ですがご理解ください。



Metropolitano Metropolitano
Metropolitano客車 ■拡大 Metropolitano機関車 ■拡大

下左は、Ferrovías(Ferrovias)駅を脇から正面方向に向かって撮影したものです。駅舎に向かって車が沢山駐車していますが、どうもここは無料駐車場のようです。近隣でも駐車場は有料のものばかりだと言うのに、駅の真横で無料でいいんでしょうか。しかも、その割には空いています。右は、駅横の格子扉(左写真右側)から構内を覗いて撮影したものです。Metropolitanoの客車と同型に見えます。元々はTBAも含めこれらの鉄道は国鉄だったものを分割民営化したものらしく、同じ型の車両が活躍を続けていることも道理でしょう。機関車もMetropolitanoと同型と思われるもので、こちらの客車と同様真っ赤な塗装でした。尚、奥の巨大なアーチを描く屋根はTBAの駅です。

Ferrovias Ferrovias
Ferrovías(Ferrovias)駅 ■拡大 Ferrovías(Ferrovias)客車 ■拡大

TBAサルミエント線 TBA Línea Sarmiento

Puerto Madero station
Sarmiento線Puerto Madero駅 ■拡大

Puerto Madero付近を散策していたら、左写真の光景に遭遇しました。前項で述べた廃線の延長で生存していないと思ったのですが、その割には駅設備が綺麗です。ホームまで上がってみると、時刻表まで掲示しているではありませんか。時刻表には6往復の列車が書かれ、午前上り・午後下りと午前下り・午後上りでは運賃が倍違うではありませんか。ラッシュ割増運賃か知りませんが、随分極端に見えます。しかしこんな緑に覆われた線路でおよそ営業しているとは信じ難かったのですが、平日(月〜金)運行との表記に、その日は日曜だったので翌朝見に来ることにしました。

そして翌日。半信半疑で現地に向かうと、ちゃんと列車がいるではありませんか。窓口にもちゃんと人がいます。我々は片道2ペソ也を支払って乗車券を購入しました。乗車券は縦7cm、横4cm。ASIENTO(座席)と書かれた欄がありますが、座席指定をする場合があるのでしょうか。この切符は無期限の地下鉄とは対極をなして列車まで指定。まぁ列車によって運賃が違うのだから当然でしょうけど。切符と一緒に掲示してあるのと同じ時刻表を手渡してくれたのですが、我々が乗ろうとした列車は唯一途中駅通過のように書かれているものだったのが、その2駅に「PARA」と書き込んであります。Parar(止まる)の3人称でしょう。じゃぁ停車するわけか。因みに、この列車だけ随分所要時間が短いですが、これはこの2駅を通過するから速いと言うよりは、この列車の駅以外にも停車する「電車」に追い付かずに済むダイヤとなっているからだと思われます。



Timetable TicketTicket
Castelar-Pto. Madero間の時刻表 テキスト版 Castelar-Pto. Madero間の乗車券、左が表、右が裏

乗り込むと、まぁガラガラ。他に3人しか乗っていません。車内は転換クロスシートがずらっと並んでいます。この国の乗り物にしては珍しく冷房も付いていますが、乗った日は幸か不幸か涼しかったので意味無し。発車すると、左上の写真で奥方向、下の列車写真では手前方向に進行。すぐにトンネルに入り、10分近く地下です。ようやく地上に出ると、第三軌条電化の路線に合流します。どこを走っているのかと必死で地図で探すと、Once駅を基点とするSarmiento線に合流していたのでした。電車線の駅は途中幾つかありますが、この列車は低床ホームである必要があり、また、切符が自動改札非対応なので、専用ホームのある駅にのみ停車します。駅は、中央に電車線の島式ホーム、その両側にこの列車用の線路と外側にホームという配置になっており、この列車用のホームは改札が無く、車掌が検札しています。また、空いているから可能なのでしょうが、降りる様子を見せる乗客がいないと、駅を通過してしまいました。



Sarmiento line Sarmiento line
外観 もっと側面側から撮るべきだった(汗 ■拡大 車内 ■拡大
Castelar station
Sarmiento線Castelar駅 ■拡大

終点Castelarまで乗り通したのは我々だけで、車掌は検札ついでに我々に目的地を聞き出し、そこまでの道案内をしてくれようとしたようですが、その意図をすぐには図りかねた上に「乗ることが目的だ」というのがちょっと情けない・・・。一応B氏がそう言いましたが、車掌氏にそれが通じたのか通じなかったのか、結局近所の名所らしき場所への道案内をしてくれたようでしたが、それがどこだったかよく覚えていません(汗。

左写真はその終点Castelarです。この列車の終点と言うだけで、電車線は更に続きますが。左側のホームがこの列車の降車ホーム、右に見えるホームが電車線ホームです。はるか奥に今まで乗っていた列車が見えますが、これは引上げ線に入った後、電車線ホームの反対側の乗車ホーム側へ転線し、またPuerto Maderoへ向かいます。



Puerto Madero
Puerto Madero迄の路線の由来を書いた看板

尚、Puerto Madero駅附近には、この駅とSarmiento線本線を結ぶトンネルの由来について書かれた看板がありました。スペイン語、英語、ポルトガル語3ヶ国語併記です。スペイン語を読む気力が無いので、英語を読んでその内容を以下に記します。


プエルト・マデーロ駅と鉄道トンネル

プエルト・マデーロ駅の歴史は、コロンColón(Colon)公園の近くに見えるトンネルと深く関わっている。このトンネルは、イギリス人技術者デービッド・シンプソンにより、港湾地区と当時のサルミエント鉄道(現在のTBA)が直接結ばれていないことを解消するために計画され、1912年から1916年にかけて建設された。このトンネルは開削工法は採らず、地下鉄A線のように両側から同時に掘り進んでいき、機関車によって掘削土が運び出された。

このトンネルは全長4700mであり、技術的に顕彰に値する。坑口はディアス・ベレスDiaz Velez通りとビジングウルストBillinghurst通りの交わるアルマグロAlmagro地区にある。トンネルは地下20mで、断面は馬蹄形である。側壁には緊急用のシェルターがある。このトンネルは永らく使われないままにあったが、1997年に復活し、広域ブエノスアイレスの西に位置するカステラールCastelar市とプエルト・マデーロを結ぶ26kmを走る列車に供された。

復活にあたり、TBAは軽量車両、3系統の換気システム、及び非常口を導入し、一部でポンプの修復と予備の配置を行い、トンネル全長に亘って塗装を行った。列車は全て座席定員116人の軽量車2両編成である。この列車は、空調、効果音楽、そして夕刊の無料サービスと、とても快適である。この鉄道の復活が成功したことにより、西側地域と都心間の深刻な交通問題の解決へ大きく前進した。




・・・だそうです。和訳がおかしかったら御免なさい。朝乗ったから無くて当たり前ですが、夕刊が貰えるとはなかなか乙な感じ。しかし音楽らしきものは全く無かったような???

TicketTicket
TBAの磁気化乗車券、左が表、右が裏

Castelarからの帰りは、同じように帰っても面白くない上に、倍額の運賃が掛かるので、Onceまで電車に乗り、そこから地下鉄A線で戻ることにしました。郊外線は線路側の壁の至る所が落書きで埋め尽くされ、ニューヨーク地下鉄の地上区間のような殺伐とした雰囲気が漂っているようにも見えますが、駅の雰囲気はずっと明るく、日本の私鉄のような感じもします。

切符は自動券売機で購入。目的駅をタッチすると金額が表示されるので、硬貨を投入します。紙幣は使えません。そのためか、券売機はがらがらで、窓口に行列が出来ています。ここに限らず、紙幣が使える機械という物はこの国では見かけませんでした。それでいて、日本の感覚で100円である1ペソ以下の単位でないと硬貨が存在しないわけですから、自動券売機の存在意義が低くなってしまうわけです。しかし、均一運賃で最も機械化が簡単そうな地下鉄が必ず手売りで、区間制のこちらには券売機が存在すると言うのも何となく違和感があります。

こちらの切符は縦5.7cm、横5.5cm、殆ど正方形です。券面の殆どが自社のキャンペーンと思われる広告で占められていますが、「Falgo」というのが何者なのかわからない・・・。Falgoや切符を集めて送ると、リオデジャネイロまでの切符が当たる、と理解したのですが・・・。因みに「IDA」と書かれていますが、これは「往き」の意味で、郊外鉄道は大抵往復Ida y vueltaの切符を売っています。単純に倍額です。これを買うと日本のように2枚の切符が発行されるのか、1枚で両方兼ねるのかは分かりません。

運賃は、ここからOnceまで85センターボ。そこから地下鉄は70センターボですから、先程の気動車列車より安くなります。しかも気動車列車は通勤方向が倍額。こんなことでお客が乗っているのか、ちょっと気になります。

電車は、下右写真のような水色基調の塗装のものと、塗替え前と思われる、気動車列車と同様の栗色基調のものが混在していました。乗車した電車は水色塗装で、車内も下左写真のように青系です。栗色電車の車内はやはり違う色をしているのでしょうか。車掌は客室内に乗務していました。また、自転車の持込が出来、そのための積載スペースを設けた車両もありました。この街は自転車がかなり使われているようで、しかも建物の中まで乗り込む人の多いこと(笑)。そのように「市民権」を得ているからかも知れませんが、日本の電車にもこのようなスペースがあればなぁと羨ましく思いました。

電車を降りる際、この切符が欲しかったので、車内で辞書を引き引き言い方を考えて、駅で有人口の駅員に頼んでみました。駅員は当駅Once迄の切符であることを確認した後、快く解放してくれたので一瞬大喜びでしたが、普通に自動改札を通ったB氏曰く「これ出場しても切符出てくるよ」。・・・・・。私の交渉は徒労でした。

尚、参考に公式ページのサルミエント線路線図へリンクを張っておきます。



Sarmiento line Sarmiento line
TBA電車車内 ■拡大 Once駅 ■拡大

ブエノスアイレスの鉄道に関するページは、以上です。尚、鉄道の位置関係の把握の一助にと路線略図を作成致しましたので、ご覧下さい。

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